暑くなると心配されるのが熱中症。
熱中症というと暑い環境や強い日差しなど、戸外での出来事を連想しがちですが、最近では夜間の室内からでも救急搬送されるケースが増えています。
自分のことなら「熱中症かな?」と気付けたり対処したりできますが、子供なら?
うちの子は7歳でペラペラとよく話す子ですが、それでも時々何が言いたいんだか分からないことがあります…汗
まだうまく自分の言葉で自分の症状を伝えられない子供や、そもそもまだ話せない子供はどんな症状が出たら注意しないといけないんでしょうか?
今回は
・子供の熱中症の症状
・熱中症と風邪の違いやそれを見分ける方法はあるのか?
についてご紹介します。
子供の熱中症の症状
子供の体はというと、大人と比較すると新陳代謝が盛ん。体内で多くの熱を作り出しているので体温を上昇させやすいのですが、上昇させた体温を低下させることがまだ下手くそです。
また汗を出す汗腺が小さく汗の量が少ないので、大人のように汗をかくことで生じる気化熱によって体温を下げるということができません。
そのかわり、子供は皮膚から熱を逃がしやすいようになっています。
(だから子供が遊んで帰ってきたときは顔が真っ赤で触ると熱いんですね)
本題に入る前に、まず熱中症が重症化していく過程を見てみましょう。
熱中症の重症化の様子
熱中症は以下の4つにほぼ分類されます。
- 熱失神…急に暑い場所に出たときなどに起こる立ちくらみ・失神
- 熱痙けいれん…運動などで大量に汗をかいた後に筋肉がけいれん(足や腹部におこりやすい)
- 熱疲労…大量に汗をかいたが水分や塩分の補給が十分でなかった場合、めまい・頭痛・吐き気・倦怠感が起きる
- 熱射病…脱水に加え体温調節機能が麻痺し、めまい・吐き気・頭痛の他、意識障害・錯乱・昏睡・全身けいれんなどを伴うことも
数字が大きくなるにつれ重症になります。
現れる症状を見てみると、失神や筋肉がけいれんするといった目に見えるものなら親も気付けますが、めまいや頭痛、倦怠感などといった「自分で伝えてくれないと分からない症状」は気付いてあげにくいですよね。
では子供がどういった症状なら熱中症を疑えば良いんでしょうか?(上記と重複する箇所もあります)
熱中症の症状
熱中症になると以下の症状が現れます。
熱中症は脱水症状から始まることが多いんですが、子供の場合は以下の症状から脱水症状かどうかの判断をします。
- 唇が乾燥してカサカサしている
- 舌が乾いている
- 皮膚がしわしわになっている
- おしっこが出ない、量が少なく色が濃い
子供に脱水症状が出ている場合は、涼しい場所で休ませながらしっかりと水分補給をさせます。水分補給には経口補水液かスポーツドリンクを飲ませてください。
水分補給をした後は、その後の子供の様子に注意を。
まれに「機嫌が良く元気に見えたのに熱中症と診断された」というケースがあります。
この場合はおしっこの様子が普段と違ったことから気付かれたようですが、普段と違うかどうか様子をよく観察することが大切です。
またその日の環境からも熱中症かどうかを推測することができます。
- 気温が高い
- 風が弱く日差しが強い
- 照り返しが強く反射熱が強い
- 急に暑くなった
熱疲労の段階で適切に対処するのが重要だと言われていますが、すぐに受診が必要なのは「熱中症の重症化の様子」で挙げている「4.熱射病」の症状が出たときです。
熱射病の症状とは、「脱水・めまい・吐き気・頭痛・意識障害・錯乱・昏睡・全身けいれん」です。
またこれ以外ですぐに受診が必要な症状としては
- 40度以上の熱
- 自力で水分が摂取できない
- 水分を摂らせても自力で歩けない/起き上がれない
という症状が出たときです。
その場合はすぐに病院に連れて行きましょう。
子供の熱中症の風邪の違いと見分け方
熱中症の症状は一見すると風邪とほぼ一緒ですよね。
鼻水や咳といった風邪の症状が出ていれば風邪だと分かりますが、そういった症状が出ていないときは?
まず風邪と熱中症が辿る経過を見てみましょう。
風邪のとき
風邪のウィルスが体内に侵入すると、免疫機能によって免疫細胞が活動を始めます。と同時に、37℃前後を好むウィルスの働きを弱めるために体が発熱を始め、ウィルスへの攻撃を始めます。このとき通常は熱が42℃を超えることはありません。
ウィルスを撃退し終わると、上昇していた体温を下げるために汗をかきます。
確かに熱が下がると汗をかきますね。
では熱中症の場合は?
熱中症のとき
熱中症の初期段階では汗が出ているため、体温が上昇しないことがあります。
しかし大量の汗をかいて体内の水分が失われると、それ以上汗をかくことができないため体温が上昇していきます。
体温を調節する機能がうまく働かなくなっているので、生命の危機的ラインとされる42℃を超える高熱につながることがあります。
風邪と熱中症を比較すると
二つを比較すると、「発熱」という点では
・熱の高さ
・熱がどんどん上昇していくかどうか
・汗をかいているかどうか
に違いがあるようです。
でも…42℃の熱がボーダーラインだとしても。
(さすがに40℃超えた時点で風邪だろうと何だろうと病院に行くと思いますが)
熱が上昇しているかどうかは風邪のときだって測る度に「また上がった!」ということもよくありますし、熱が上がりきるのがいつなのかは誰にも分かりません。
子供が風邪をひいて受診するときも、お医者さんに色々聞かれますよね。いつからこの症状が出ているのか・家での様子・親が気付いたことなどなど。
それは実際の子供の様子と保護者から聞いた情報を元に診断を下しているからだと思います。
結論として、外に何時間もいたなどの明らかな理由がない場合は「風邪と熱中症の違いを見極めるのはかなり難しい」です。
そのときは何ともなくても、数時間後に熱を出したときなんかは特に素人では判断が難しいです。
普段と違うなと思ったら、心配な場合は受診した方が良いと思います。
どちらか自分で判断するのが難しい場合は、全国を対象とした小児救急電話相談「#8000」がありますので利用しましょう。
おわりに
熱中症は重症化すると命を落とすこともある病気です。
特に小さなお子さんの場合は保護者の観察力が必要になってきますので、おかしいなと思ったら電話でも良いのでかかりつけの病院に相談してみたり、必要なら受診をおすすめします。